冷蔵庫ディスコ ができるまで — 残り物を今夜の一皿キャラに変える献立エンタメの設計
冷蔵庫ディスコ ができるまで
冷蔵庫の中身を見るとき、人はたいてい現実を見ます。
卵が1個、キャベツが少し、豆腐が半丁。
つまり「何とか食べる」ための判断です。
でも今回は、その瞬間をもう少しだけ楽しいものにしたくて、
残り物を“今夜の一皿キャラ”に変えるサービス を作りました。
それが 冷蔵庫ディスコ です。
何を面白がるサービスか
このサービスは、レシピ検索そのものが主役ではありません。
- 冷蔵庫にあるもの
- 今日の気分
- 使える時間
- 買い足し予算
を選ぶと、
- どんな皿の方向に振ると気持ちいいか
- どれくらい満足できそうか
- 洗い物はどれくらい増えるか
- ちょっと背徳か、ちゃんと回復か
を、献立診断とエンタメのあいだみたいな温度で返します。
真面目すぎる献立アプリではなく、
でも単なるネタジェネレーターでもない。
その中間に置いたかったサービスです。
AIを使わなかった理由
今回は AI を使っていません。
理由は3つあります。
- 何度回してもコストがかからない
- 結果の世界観をこちらでコントロールしやすい
- 残り物の組み合わせは、決定的ロジックでも十分に“それっぽく”転がせる
冷蔵庫ディスコで必要だったのは、
正解のレシピ
ではなく、
その日の気分に対して、どの方向へ振ると楽しいか
でした。
なので今回は、食材カテゴリ、気分、時間、予算を持った小さな組み合わせエンジンで作っています。
スコアの考え方
結果画面では、3つのスコアを返しています。
ごほうび度洗い物背徳度
ごほうび度は、満足感の見込みです。
食材の強さ、気分との相性、時間の余裕、買い足し許容量で上がります。
洗い物は、単に工程数だけでなく、
- 皿数が増えそうか
- フライパンや鍋を使うか
- とろみやチーズで後片付けが面倒になるか
まで含めて上げています。
背徳度は、ちょっと危ない組み合わせの魅力です。
キムチとチーズ、納豆とマヨみたいな、
人前では説明しにくいのに、家ではやりたくなる
方向へ寄るほど伸びます。
デザインの狙い
今回の画面は、開発ツールや診断ダッシュボードの雰囲気を避けました。
寄せたのは、
- フード雑誌の見出しの強さ
- パッケージデザインの軽快さ
- ステッカーっぽい遊び
- 料理が一皿の“作品”に見えるポスター感
です。
冷蔵庫の残り物という題材は、下手をすると生活感が勝ちすぎます。
なので「節約アプリ」ではなく、少し高揚感のある見た目に振りました。
色も、
- トマトの赤
- バターの黄
- ハーブの緑
- こげ茶
を軸にして、食べ物の記憶と画面の印象がズレないようにしています。
実装の構造
中身はかなり素直です。
- 食材プリセットを持つ
- 気分、時間、予算の選択肢を持つ
- いくつかの皿ブループリントを持つ
- 相性スコアで一番近い皿を返す
ブループリントごとに、
- 必須に近い食材
- 合いやすい食材カテゴリ
- 相性のいい気分
- 相性のいい時間帯
- 買い足しとの相性
を設定しておき、
最終的に一番点が高いものを「今夜の皿」として出しています。
その上で、
- 盛り付けメモ
- 買い足しの正解
- 3手の進行表
まで返すことで、結果画面が単なる名前の表示で終わらないようにしました。
永続化したもの
保存しているのは、ランキングに必要な最小情報だけです。
FridgeDiscoRun
├── ingredientIds[]
├── moodId
├── timeId
├── budgetId
├── dishName
├── dishMood
├── satisfactionScore
├── cleanupScore
├── chaosScore
└── shareCaption
これで、
- どんな皿がよく出ているか
- どの方向が人気か
- 背徳寄りの人気と回復寄りの人気がどう違うか
を見られるようにしています。
技術的なおいしさ
見た目はかなり生活寄りですが、実装としては扱いやすいサービスです。
- AI なし
- 複雑な外部 API なし
- 決定ロジック中心
- Prisma とシンプルな保存 API で閉じる
その代わり、面白さの芯が弱いと一気に薄くなります。
だからこそ、
- コピーの温度
- スコア名
- 結果の皿ネーミング
- 画面全体のリズム
の方が、実はかなり重要でした。
今後の伸ばし方
まだ広げられる余地はあります。
- 季節食材モードを追加する
- 朝 / 昼 / 深夜で結果の方向を変える
- みんなの“冷蔵庫勝ちパターン”を投稿できるようにする
- 実際の買い物メモへつなぐ実用モードを作る
特に最後は面白くて、
今は遊び寄りですが、少しだけ実用に寄せる余地もあります。
まとめ
冷蔵庫ディスコは、残り物を“処理”ではなく“演出”として扱うサービスです。
節約や効率だけで考えると、献立はすぐに正解探しになります。
でも実際の夜ごはんは、気分や疲れや小さな背徳で決まることも多い。
その曖昧さを、ちゃんと気持ちよく遊べる形にしたかった。
今回のサービスは、そこにかなり素直に向き合っています。